これは昨日の夕方のニュースで見たのだが、一時的な遺体保管の施設は需要が高く、建設と運用に関しては地元とトラブルになる場合があるらしい。
TBS動画ニュース 2014.07.25 住宅街に突然「遺体保管所」 住民大反対
番組の話の前に、少し余談を。
3年前のことになるが、わたしたちは知り合いもほとんどない土地で急に火葬の必要に迫られ、形ばかりの葬儀をしなければならなくなり、たまたま地元の業者が斎場も兼ねた遺体安置の場所を用意してくれたので、条件面で妥協はさせられたものの、なんとかのりきった経緯がある。
簡単に書くと、まったく誰も葬儀に来る予定はなかったので家族が火葬を見届けるだけでよかったのだが、火葬場の順番がくるまでの数日間、誰かやってくるかもしれないから遺体を安置しながら連絡を待ったほうがよい、それくらいのことをして見送るのがその土地では一般的であり、火葬だけというのはちょっと…という具合に、押し切られたわけである。実際には、きちんと葬儀をおこなうご家族で、わたしたちよりも後から予定を組んだ隣室の方が先に火葬をおこなったようだったし、火葬場の順番待ちというのは、急ぎか急ぎでないかの順番を、葬儀会社側が割り振って考えていたのだろうと想像する。
(そうであっても、葬儀会社にはとても世話になったので、いまさら不満を書くつもりはない)
もしその土地に、一時的に遺体を預かってくれるだけのシステムが整っていたら、わたしたちは遺体発見から葬儀と火葬まで数日以上(5日くらい?)もかけて、誰もこないことがわかっている祭壇を守りつづける必要はなかった。だが現地での一般的なスタイルはこうであると強く言われれば、逆らってまで火葬のみをして話をこじらせるわけにはいかなかったわけだ。
以上の経緯があるため、わたしはどちらかといえば、住民側よりも「施設はどこかにはあったほうがいい」という考え方に立っている。その点をご注意いただいた上で、つづきを読んでいただきたい。
さて、番組のことに話をもどそう。
いきなり目の前が24時間営業の遺体保管所になったら、住民はショックかもしれない。だがわたしは、自分の家の前の話ではないからかもしれないが、ちょっと違うことを考えた。
業者の人は、腹が立っている住民の集団の前に、おそらくひとりで来ていて(←顔にぼかしがはいっているのがひとりだけだったのでそう推測)、堂々と、3時間応対していた。そして言っていることも、筋が通って感じた。
> 「(…前略)そんなにご遺体ダメですか。亡くなった人はダメですか。僕にはそんな考えはないですし、みんなの大切な人だってあり得ることですよね。人間いつか死にますよね」(業者)
> 「開き直るんじゃねーよ」(住民)
これは、開き直りには感じず、自分たちが予想していなかったことで地元が変わってしまうことへのいらだちと不安、誰に持っていっていいかわからない怒りを抱いている住民を前にしつつ、業者はまっとうなことを言っているように思えた。
そもそも、住民がけっこうな数で目の前にいるというのにひとりで応対し、まじめに会話できるというのは、すごい度胸だと思う。
それからもうひとつ。
年代と居住地域による感じ方の違いかもしれないが、遺体を1日くらい預かる施設が、そんなに問題だろうか? もちろん、車の出し入れが24時間あるかもしれないというのは、住宅街にはつらいことと思う。できれば「車の出し入れなど作業音がそれほど気にならない場所」が、よいには決まっている。だが、気味が悪いとか、そういうのは…あるのか? 南日もそこで置きっ放しにされるものではなく、ドライアイスで管理されて葬儀や火葬を待つご遺体である。そんなに、問題だろうか?
ないと困るが、自分の家の近くは困ると大勢の人が考えるのが、ゴミ焼却施設。
あると嬉しいが、自分の家の近くはうるさくて困ると思う人が多そうなのが、深夜営業のドンキ。
それらふたつにくらべたら(これらとくらべて失礼だったら申し訳ないのだが)、1日かそれくらいのあいだご遺体がある施設が、それほど問題とは思えないのだが。。。この考え方は乱暴だろうか…?