ツタヤなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブのTカードに関する会員規約が変更になることにともない、第三者への情報提供を望まない場合はそれを回避する手続き(オプトアウト)が開始となった。
Yahoo! Japan IDを持っている場合は、このページですぐ手続きできる。持っていない場合は、郵送でも受け付ける。
いちいち数えなかったが、その「第三者」の候補というのは、ざっと見て30くらいあっただろうか。ぜんぶチェックをはずし、限られたごく一部の企業にのみチェックを入れて、更新ボタンを押した。
これからますますソーシャルログイン(いわばログインIDの相互乗り入れのようなシステム)が盛んになると思うが、どこか大元の場所で規約を大きく変更されたり、あるいはその大元の場所が潰れるとか、サーバが不安定になるとか、何か事情が発生した場合、どれほど影響が大きくなるだろうかと、考えてしまう。それに、任せることに慣れきってしまったあとで、その利便性を捨てられるかどうかも不明。以前ならよしとしなかったような利用条件でも、妥協してしまう場合が出てくるかもしれない。
たとえばGoogleだが、もともと傘下のサービスにそれぞれ個別にIDを持っていた場合でも、後日なにかの拍子に「これからはGoogle IDでログインして、情報を一元管理にしたほうが楽だ、いちいちパスワードを管理するのも面倒だし」と考えはじめたら最後、楽にはなっても、それらのリスクがつきまとうことになる。どちらがいいのか…? それは個人個人が、大いに悩むべきところだ。
わたしは、すごくよく使うサービスで安定した場所には個別のIDを使い、1〜2回だけお試しログインしたらもう使わない可能性があるような場所はTwitterのIDでログインし(わたしはTwitterにたいした情報はおいていない)、引き継ぐべき情報がたくさんありそうでいちいち登録がめんどくさいと思ったら、Facebookでログインする。——その代わり、気に入らない場所と思ったらすぐ退会するなり、利用をやめる。Twitterなどよりよほど大きな情報がFacebookにはおいてあるのだから、使わない可能性がある場所に情報をそのままにしておけるはずもない。
だが、だんだんと、どこに何をおいているのか、頭が混乱してくることもあるかもしれない。なにせ現在、バーチャル空間のいたるところに無料ストレージがある。わたしも使いもしないサービスにまで、もしやという状況に備えて登録している。
この状態を無理やり現実生活にたとえるなら——近隣の道ばたに小型の物置が無造作に置かれていて、道を歩く人たちは簡単な鍵を預かっただけでそれらを昼夜自由に利用し、荷物を出し入れしている。人が使っていない物置ならどこを使ってもいいと言われていたら、頭の中がぐしゃぐしゃになるし、整理整頓とはほど遠い感覚になっていくことだろう。ところが気づかぬうちに町内で約束事ができてしまい「何月何日に区画整理がはじまります、荷物を持ち帰らない人は、没収されます」と言われたとき、適切な対応がとれるのかどうか。いろいろなものを、置き去りにしないだろうか。
それよりも、何よりも。
Facebookだ、Googleだといったような大きな存在が、あるとき「アメリカ政府に接収されました〜♪ 政府には逆らえないから、みんなよろしくね〜っ」と、軽く宣言してくる日が、ないことを祈る(^^;。