以前からよく、政治や経済の不穏なときに流行るのは、占いとUFOと陰謀論だと聞いている(いや、誰が言ったのか忘れたが…実感している)。
たしかに、米ソの冷戦時代は矢追純一氏のUFO特番が、あのチャララ〜チャラララ〜の音とともにお茶の間に乗りこんできた。宇宙人がどうのとさんざん語ったあと、最後は「それ以上はアメリカが隠している」「いやいやソ連が」という具合に、一般人にはうかがい知れない巨大なカーテンが世の中にはあるのだといった締めくくりで、数週間後にまた同じようなネタをひっさげてもどってきたものだった。いまから思うとあおるだけあおって、まったくカタルシスがない内容だったが、あれは平和な時代だったのだろうか(遠い目)。矢追さん、あのころ日テレ所属だったような気がするのだが、ちゃんとほかの仕事もしてたんかなぁ…?
最近はUFOものは減った。減った裏には、誰も「適度にピントがぼけてくれるカメラがなく、人前に出すのに都合よい曖昧写真が撮れない」という事実もあるかもしれない。スマホで撮影すれば鮮明だし動画も簡単だ。だから、映像にすぐ訴えるような不思議ネタは減った。
だが、その分だけ、かなりの数の陰謀論が出回っては消えている気がする。デング熱の話題に飛びつくのは原発反対集会などの反政権デモを代々木公園でさせないためであるとか、強引に決めた解散総選挙の裏にはこれこれの事情があるとか(これはどれひとつとっても「あの内閣、あの首相ならアリかも」と思えてしまうところがあり、あながち陰謀説とも言い切れないのだが)、あの大物政治家はアメリカに嫌われているとか(これも「アメリカなら言いそう」とか、つい思えてしまうのだが)、そして昨日聞いたばかりなのだが「バター不足は天下り団体のせいだった」というもの(…ああ、これもあながち「完全嘘とも言い切れないか」という迷いがある ^^;)、ほんとうにもう、よりどりみどりだ。
そういえば20年くらい前の日航機墜落事故の数ヶ月後から、わたしがいまでも覚えている「事故の真相」説が出まわった。その後もいくつかの陰謀論が出ては語られているようだが、わたしの聞いたその説は、最近ではあまり耳にしない。あるいは悲しみにくれて、ようやく立ち直ってその後の日々を歩んでいらっしゃるご家族や関係者のためにも、人前でそういったことを話さないだけの分別が、人々にあるのかもしれないが。
人にはつねに情報が必要だ。足らないと不安になり、さまざまなことを口走るようになる。それらを信じてしまう人たちもまた、やはり情報に飢え、情報を持っていそうな人たちが故意に隠していると考える。
陰謀論が出ても笑い飛ばせるような心の余裕を、つねに持っていたいものだが、そのためにはまず、風通しのよい世の中であることが必要だ。次の選挙で、結果はどう出るのだろうか。期待と不安がいりまじっている。あきらめたくはないが、明るい結果が出るようにも、思えずにいる。