カットバン派である。
…いや、これではいくらなんでもはしょりすぎだろうから、もう少し説明すると、普段の生活で指先などに巻くあの絆創膏を、わたしは実際に買い置きしてある商品のメーカーに関係なくカットバンと呼ぶ。世の中にはバンドエイド派もいらっしゃるようだが、わたしにとっては幼少期より「テレビでCMをやっているような、ちゃんとした高そうな商品がバンドエイドで、普通に庶民が使うのがカットバン」と、使い分けがあった。だからこれからもカットバンで通す予定だ。
ところが、である。たまたま何ヶ月か前に、家族が盛岡で指先にあれを巻かねばならずに店に飛びこんだら、そこに在庫していたのはバンドエイドだった。そのうちほんの1〜2枚が使用されたのみで、残ったバンドエイドは東京のわが家にやってきて、わたしの目の前にこの冬ずっとあったのだ。カットバン派であるわたしだが、つい目の前にあれば、「1枚、また1枚」と、バンドエイドを消費していく。そして、否応なしに気づいたことがある。
わたしにより勝手にカットバンと呼ばれている弱小ブランドの絆創膏たちが束になっても、やはり意地でも指から離れないこのスッポンのようなバンドエイドの威力には、かなわない。もちろん総称ではなくほんとうの商品名としての「カットバン」であるなら、多少はバンドエイドに近いのかもしれないが、わたしはドラッグストアでたまたま見かけた弱小ブランドたちを使うことが多いので、商品名としてのカットバンを使うことすら、まれになってしまった(ときおり爽快ドラッグなど通販サイトでカットバンを買うのみであり、普段はノーブランド)。そんなとき、つけているのを忘れて何回も水に触れたところでびくともしないバンドエイドの存在は、やはり驚異的である。一度はうっかり料理中にも手袋をせず、指にそのまま貼っていて愕然としたことも。やはり調理中ははがすか、あるいは手の上から薄手の(食品への利用可能な)手袋をしておくべきだが、つけているのを忘れてしまった。
そのバンドエイドの小箱をさきほど見たが、残りがあと1枚になってしまった。だが冬もそろそろ終わりだ。このままカットバン(と総称で呼ばれている実はノーブランドたち)の世界に、わたしはもどろう。
バンドエイドが恋しくなって、実際に自分から購入することになっても、バンドエイド以外の絆創膏はこれまで通りカットバンと呼ぶに違いない。いや、もうこれは決定。こえからも「普段使いはカットバン」で、がんばっていこうと思う。