またこの記事を書かねばならない。前回は2014年6月だった。 → エビ養殖をめぐり奴隷労働
前回は英国のガーディアン紙の記事が世界を駆け巡り、今回はAP通信である。1年にわたって綿密な取材をしたとのこと。以下はラジオ NPR による、音声を含む記事。
2015.03.27 NPR Was Your Seafood Caught By Slaves? AP Uncovers Unsavory Trade
インドネシアの離島にビルマ(←原文表記、現ミャンマー)の人々が騙されたり誘拐されるなどしたあげくに監禁され、1日の大半を漁業で強制労働させられているとのこと。給料が出ないどころか、食事代などを労働であがなえと、いわれのない借金地獄に陥らせているという。暴力もふるわれている。今回の記事には、実際に檻に閉じこめられている男性らと接触し、レポーターのひとりがビルマ語を理解すると知って彼らが助けを求めてきた生々しい描写も含まれている。
シーフードは複数の港を経由し、アメリカの大手スーパーなどに流れていることを番組で確認しているという。人間用のほか、ペットフードにも使われている模様。
前回の記事でも書いたが、安くてありがたいという消費者の安易な気持ちが(むろん買う側の先進国といえども食費に困る人はいるわけで一概には責められるべきではないが)、仕入れて供給する側である輸入・流通の業者もしくはもっと大きな多国籍企業の感覚を鈍らせる遠因となる。もちろんそれら企業に「儲け追求」の意識があるからこその構図であり、末端の消費者だけに責任を負わせるものではないだろう——だが、最終的には消費者である個々人が、知らなかったこととはいえ、遠く離れたどこかの土地で行われている非人道的な行為(奴隷労働)に加担してしまうことになる。そして知る機会があってもなお意識に変化がなく無頓着でいつづけるなら、消極的な加担ではなく、共犯者となってしまう。
日本にも、こういうシーフードは、はいってきているかもしれない。個々人の意識向上も必要だが、さらなる大きな目で監視していかなければならないだろう。いつのまにか自分たちが、奴隷労働の加害者になってしまう。
この21世紀の世の中において、騙されて他国に連れていかれて檻に入れられ、家族と連絡を取る手段も奪われて強制労働させられるなどということが、あっていいのだろうか。もっともっと、これらの問題に目を向けていかねばならない。