わたしの生活圏はずっとJR高円寺駅界隈だが、実は西武新宿線も意外に近い。もしかしたら西武線のいくつかの駅とJR高円寺駅に行くのでは、大差がないか、もしや西武線のほうが近いくらいかもしれない。
今日はひさびさに都立家政駅の近くを歩いていた。スーパーで買い物をし、以前から気になっていた洋菓子店(アンファン.F)に立ち寄り、少し買い物をして帰宅。昨日までと打ってかわった夏日で、汗ばむ陽気だった。
都立家政は、とても小さな駅である。しかもすぐ近く(あっというまに到着できる近距離)には、準急も止まる鷺宮という駅があり、反対方向に歩けば、そこそこ大きな野方という駅もある。駅の位置が街道から離れているのでバス路線も直接のものはなく、5分以上も歩いた大通りにバス停があるのみ、しかもそのバス路線の本数は1時間に1本程度である。
だが意外にも、商店街はそこそこ機能している。少なくともわたしのように和洋の菓子店があればあとは何がなくても気にならない人間には、困らない。短い商店街に洋菓子店が3軒(駅から南方向)、駅の南北を合わせれば和菓子店はおそらく4軒もある。あの規模の商店街では、おそるべき菓子店比率である(笑)。
スーパーも、駅近くと街道沿いとに2軒あるし(南方向にあったスーパーは残念ながら現段階で消滅し、半分がローソン、もう半分が駐車場)、ドラッグストアや生活用品、飲食店、金融機関などもあり、シャッター店の比率はさほど高くないかもしれない。
歩いていて「将来、このあたりに住むのもいいかな」と、ちらりと考えた。大型マンションもなく、中規模な住宅が多い。宝くじにでも当たったら、小さな中古住宅にでも住むことができれば、わりと楽かなという気もする。もっとも、生活の面では、JR線の駅界隈になれてしまった人間には、最初はたいへんかもしれないが。
今後の日本では、空き家がますます増えるという試算があるが、建設業界はいつまで家を建てつづけるのだろう。大規模なマンションは、強度の意味などとはまた違い「空き部屋率が高くなったら維持費や補修費がうまく集まらない」というリスクが、最初から見えている。小さめの集合住宅もしくは複数の家族が入居するテラスハウスのような縦割り住宅(洋風長屋とでも呼ぼうか)をちょこちょこと建てたほうが、いいのではないかと思う。もちろん、設計と建築だけしてあとは知りませんという態度をとるのならばそれはそれでいいが、住環境という意味で考えたら、現実を見た身の丈にあった規模の住宅を適度に作っていくほうが、世間のためにはいいように思う。
聞きかじりではあるが、日本の住宅は湿度や建材の関係で西洋ほど長持ちせず、20年くらいしたら財産として勘定に入れられるのは土地のみで、「住居部分は(書面上では)無価値」だそうである。身の丈にあった規模の土地に適度に快適な住宅を得て住んでいられるような暮らしが、そして死ぬころにちょうど貧乏すぎない程度につつましく暮らしていけることが、平凡ではあるが(そしてそれが簡単とはいかないだろうが)、いまのわたしの希望だ。