11月に録画しておいた「獄門島」を見た。主演はテレビ番組「MOZU」で「くぅら〜ぁき〜っ」と叫んでいた人、その前は「ウナギ犬のCM」の人、さらに最近は「シンゴジラ」主演の長谷川博己(ひろき)である。彼が演じた金田一耕助は、なかなかの出来だった。
脚本もすばらしく、原作ファンから「人がさんざん殺されまくるまで何も解決できない金田一」、「まったく予防できない金田一」と見なされていることを逆手にとり、最終シーンでは犯人がちらっと、それらしきことを言う。対する金田一、鬼気迫る台詞回しで、説いてやったぞざまーみろと、言い返す。この「疲れ切って、いっちゃってる金田一」は、当時の世相や金田一の経歴(復員兵)を思えば自然なのだが、なかなかいままでは登場しなかった像だ。テレビ版の上川隆也はいまから思えば上品で都会的だったし、映画版の豊川悦司は個性が強くて普段から危なそうな役柄が多く、彼が金田一をやってもかえって枠ははみ出さないような予感があった。テレビ版で数作を主演した稲垣吾郎版もなかなかだったが、やはりわたしは、今回の長谷川博己版に、軍配を上げたい。
もし、シリーズ化するのであれば、先が楽しみだ。だがこの金田一は、今回の一作だけで消耗し、燃え尽きてしまったのではと思うほどの迫力だった。
充電期間ののち、また帰ってきてくれることを、期待している。