この話だけは書きたくなくて、何かほかに書くことはないかと1時間以上も真っ白な画面を眺めていた。だがこれしかなかった。明日の午後、義母がショートステイからもどる。この10日間、幸せだった。楽しかった。1日おきに電車やバスに乗って出かけ、数時間の外出を楽しんだ。今日は最終日であり立てていた予定があったが、ちょっとした事情でそれが変更となった。けっきょくは近所の散歩で終わったが、別にそのことに悔いはない。
コーヒーを毎日飲めてうれしいとか、自分の好きなタイミングで好きな行動がとれることは幸せだとしみじみとした思いをかみしめたりとか、頭がぼーっとしていることやうっかりミスもあるけれど前回の東京オリンピック前後に生まれたような世代はもうそれも仕方ないことだろうと思ったり、とか…あれこれ満ち足りた気分でいるのはたしかだ。自分は幸せであることは疑いがないことなのだ。それでも、明日からがまた気が重くて仕方がなく、それを認めたくなくて、明るい話や楽しいことをどうにかひねりだそうとして1時間以上も画面をただ見つめていた。そしてけっきょく何も生み出せなかった。
素直になるしかない。わたしが本当に書きたいのは「自分は幸せなのにこんなことを書くなんてわがままであるけれど、明日からを思うと気が重い」ということなのだ。
次のショートステイを楽しみに、それをはげみに明日を迎えるしかない。