米国がトランプ政権になってからまだ10日以内だったはずなのだが、次から次へと話題が出てくる。議会の承認も得ず「一部の国別で」アメリカへの入国を制限することにしたという話が流れてきたと思ったら、猶予期間もなくすぐさま実行に移されていた。影響を受けている人たちの中にはアメリカに普段から居住して仕事を持っている人、そしておそらくグリーンカードを持っている人もいると思われる。いったん出たらもう数ヶ月以上ももどれない、国によっては数年もどれないとは、いったいどうしたことか。
また、裁判所にこの件の差し止めを申し立てた団体が、入国するはずだった人たちの強制送還を(緊急避難として)差し止める画期的な判決を得たというのに、そちらには即効力はないと判断されたらしく、どうやら強制送還がそのまま実行されているとの情報もある。
こんな恐ろしいことは、どうしても現実の話とは思えない。
トランプ氏の話し方ひとつ、仕草ひとつとっても、どうしても大国の大統領とは思えず、テレビによく出るタレントのような印象をいだいてしまう。画面を見ていない状態でテレビの方角からアメリカのニュースが流れてくると、コメディアンがトランプ氏に扮してふざけているのか、あるいは本人なのか、画面を注視するまで区別できない(そして今月にはいってからに限って言えば、ほぼ100%がトランプ氏本人の肉声だった)。
アメリカには知人や友達、そして知り合い程度の人まで含めれば多くが住んでいる。知人に白人系は少ないので、これまでの、状況が比較的マシだったアメリカであってもときおり勘違いや偏見で悔しい思いをしてきた人たちである。それが今後、さらに身近な恐怖として「何かされるかもしれない」という思いを強くしていくことになるのだ。
さて、これはほんの数日前の、オランダのテレビ番組の放送内容だ。トランプ氏のこれまでの言動を事細かく網羅して笑いに変え、アメリカが一番大事なら、オランダは二番目ということで、よろしくお願いしますと笑い飛ばしている。
オランダは素晴らしいという内容を、つぎつぎに紹介…たとえば
○ メキシコとのあいだには完璧に海を作ってありますよ
○ ミニチュアの建造物が建っているテーマパークを紹介し「ここなら人数を無理に集めなくてもすぐ埋まります」(←就任式の人数が少なかったとの報道をおちょくって)
○ あなたがおちょくれるような障害者の政治家も、ちゃんといます(←かつて障害のある人をトランプ氏が妙なポーズでモノマネしたことを受けて)
…とにかく、見ていただきたい。
どれほど緊迫したときであっても、恐ろしいことが実際に起こっていても、ぎりぎりまで、こういう笑いが楽しめる人間でありたいし、作る人を応援していきたい。
オランダのテレビ番組、ありがとう。