Facebookで知人らにのみ閲覧可能な状態にして、最近わたし自身が経験した不快なネット通販の話に付き合ってもらった。経緯はこうだ。
わたしはネット通販に慣れてはいるものの、それほど度胸があるほうではないので、初めての店のサイトで通販メニューを見かけても、すぐに注文することはない。数週間か、あるいは数ヶ月ほど様子を見てから「実店舗は間違いなく営業しているし、ネットの活動もしていそうな店だから、問題ないだろう」とわかってから、購入ボタンを押す。
どうしても急いでいる商品や、かなり生ものに近いような商品であれば、購入手続きをしたあとでこちらからメールや電話で「注文きちんとはいってますか」と、確認することもある。理由としては、突然に届いて受けとり損ねたら、賞味期限がそれだけ短くなるという心配や、ときには「事前に振り込みしてください」という店もあるため、土日など銀行が動いていない曜日になる前に、注文と金額を確定しておきたいためだ。
だが今回のトラブルになった店は、わたしにとって「賞味期限も長いし、それほど急ぐ物でもないから」と、注文直後に自動返信メールがあったあと、1週間も待っていれば商品もしくは連絡があるだろうと、放置しておいた。
ところがバウムクーヘン博で広島に出発する日が近づいても、商品はおろか何の連絡もなかった。クレジットカードの会社にはもうデータが渡っているので、料金は確定してしまっている。これはさすがにまずいだろうと、先方から自動応答で来たメールにそのまま返信して「いつになりますか」と尋ねたところ、直後に受取人該当なしでメールが返ってきた。だが実店舗があって営業中というのはネットでわかっていたので、あわてず店に電話すると「担当はすぐには折り返せないだろうが、電話させます」とのこと。簡単に「注文したつもりでいるのですが、オーダーがはいっているのかが心配」とだけは、伝えておいた。
ところがその晩、夜まで待ったが電話はなく。仕方ないので広島に出かける前に家族に「お金はもう確定してしまっているのに、注文がはいっているのかどうかが不安だから、電話の返事が来たら聞いておいて」と頼み、新幹線に乗った。夕方になって、ようやく先方から電話があったところによると「通販は休んでいる、クレジットカードの手続きはもともとやっていない(から、あり得ない)」と、とんちんかんなことを言っていたらしい。わたしもまさかそこまでひどいレベルだとは思っていなかったため、家族には注文明細までは伝えていなかった。せいぜい「注文は受けているが○○日後くらいになります」という返事があるのだろうと思っていたが、なんと、相手は認識もしていなかったらしい。つまり自分たちが通販を休んだ(通販メニューを見えにくくした)つもりになっているため、もうメールが来るはずはないと思っていたということのようだ。
ふたたび翌日の午前に電話をすると言われた家族は、遊びに行くこともできなくなり、午前を無駄にしたらしいが、次に電話があったのはさらにその翌日午前。わたしが最初に電話連絡を試みてから、少し話が前進するまでに3日かかったことになる。その内容は「注文が来ていたことを確認した。これこれの事情ですぐに発送はできないが、○○日に発送予定で、そのときはご本人に電話かメールで伝える」と言っていたとのこと。
広島と岡山を旅行しながら、この話の成り行きに少なからず憤慨していたわたしは、普段はパソコンで読み書きしている通販用のメールアドレスを、スマホから無理やりプロバイダのホームページ経由でウェブ上で開き、何度も吟味しているうち…「あれっ、いったん合計金額を書いたあとに、さらにメール最下部で、合計金額送料と消費税を2重に足してるっ」と気づいて、さらなる激怒。
旅行が終わり、東京にもどった。電話をしてこいと言ってもすぐにはかかってこないのはわかっていたので、発送日に電話かメールで連絡が来たら「合計金額がおかしい」と言ってやろうと思っていたのだが、その日を過ぎても連絡なし。頭にきたのでホームページにあったメールフォームから「先日の件、日付をすぎても連絡は来ないし、連絡が来たら伝えようと思っていた合計金額の不審点もご相談できないし、どうなっていますか」と連絡して、電話しろと言ってもまた連絡が来なくていらいらするよりはと「メールで返事を」と書いて、1〜2日待つことにした。
するとどうだろう。その翌日、不審なことが。商品が半分だけ届いたのだ。何の説明文も添えられず、ただボンッと商品が。
翌日の午前、さすがに腹が立って、いろいろ言ってやろうと思って電話をすると、また「連絡させます」という。嫌になったので用件をそっくりメモしてもらい(発送予定日と言われた日と無関係に、だいぶ遅れて商品が半分届いたこと、金額が不審だったので連絡があったら伝えようと思っていたのに連絡すらもないことなど)、電話を切って待ったが、その日はついに電話がなかった。
翌日午前、もうほんとうに腹が立っていたわけだが、自分でも不思議なくらいまともな声で名前を名乗った。用件を言おうとする前に、前日と同じ人が「担当者が遅くなったので電話ができなかった、今回の件では申し訳ないことになっている」と、勢いよく話しはじめた。
半分くらいは言い訳だし、ところどころおかしいのだが(わたしからのホームページ経由のメールを読んだのは前日だと言うが、それを読んだからあわてて半分だけ送ってきたのだと考えるのが妥当だろう)、さらには電話を折り返しできなかったのは電話番号を間違って控えたからだとまで。そんな、ばかな。通販の注文データが見つかっていたからこそ半分送ってきたわけで、その控えを見れば電話番号などは書いてあるはずだ。
通販を休んでいたのはほんとうで、だから検索エンジンなどを使ってやってきた人に偶然見えてしまったのは想定外であるかのような、まるで事故が起こって注文ができてしまったような表現も聞かれた。…いちいち、かちんとくるのだが、そこは我慢で「そーですかー」と普通に聞き流す。何せこちらは、注文しようかどうかの前に、その通販ページを何週間も前から発見していて、ときどき見ていて、それは「ネット上にずっとあった」ことを知っているのだ。トップページから見えにくくすればそれで誰も来ないと思うほど、おめでたい人がいるとはとても思えない。本気でそう思っていたのなら、ネット通販をしないほうがいいだろう。
その後。
ようやく、ある程度のところまでは、この話は前進した。ほんとうはあちらが詫びると言って自分たち側から示した計算間違いの件での精算は、完了していない。自分たちの側から言ったことでも守らないのは、もう何度も(翌日午前に電話しますとか、○○日に発送しますとか)経験しているので、面倒だからこちらからは何もするつもりがない。
だが、こちらから何も動かないと「許してもらえたかな」という具合に、あちらがゆるゆるに考えるのだろうなとは、思っている。だが電話をさせますと言うのにかかってこないというのは、それだけでかなりのストレスになる。もう「つきあっていたくない」と思うような店である。
こういう店は、いったい何のために通販をメニューに載せているのだろうと、正直なところ気がしれない。
たとえば、地元で通販サイトをやっている会社などから「地元の会社だから、何品目か通販に参加してもらえないか」と言われて参加するのとは違い、その会社のサイト内(独自ドメイン内)に通販メニューを用意している。きちんと運営できるならば独自ドメインのほうが信用度は上がるし、よい面もあるだろう。だがあきらかに、この店はネットに明るくない。
つまり通販メニュー構築だけは担当してくれたアドバイザーがいるが、実際のネット運営は素人である可能性もあるのだ。また、わたしは相手にいちいちこんなことは言わないが、ネット通販は詳しいつもりでいるし、初めてインターネットで自分のホームページを作ってからでも21年になるが、相手側のほうが、適当なことを言ってもこちらを納得させられると思っているらしい「浅い」考えが、ときおり言葉の端々に読みとれた。また、すみませんと謝りながらも店は取材などを受けていて忙しいかのような「余分な」情報をちょっと入れたりする。こうした場面で、不必要な情報をもらうほど不快なことはない。
商品を送ってくるにも、たったひと言「先に半分だけ送ります」と説明のメモがはいっているとか、なんらかの配慮があったら、それだけで状況は好転するだろうに、なぜこうも話をこじらせるのか。
通販の技術や知識、あるいは手間に合うだけの人手がないのであれば、通販せずに地元の人たちによくしてあげてもらいたいと、心の底から願っている。