新宿タカシマヤの別館で、すべてが紀伊國屋書店だった時代は去年の夏に終わり、昨年末からは5階までをニトリが使っているというのを、なんとつい最近になって知った。たしかにあれだけのビルを一部のみ紀伊國屋書店と紀伊國屋サザンシアターが使うのでは、あまりに「見た目」も悪かったと思う。明かりのついていないフロアがほとんどのビルは、ちょっと物騒にも思うし、何かが入店してありがたいが、それが家具屋さんであったか…。
昼過ぎは用事で中野にいたのだが、そのあとでニトリを見てみようという話になり、新宿までちょっと出かけた。だが早々に移動してしまった。
家具屋というのはなぜあれほど落ち着かないのだろう。駅を出てサザンテラスからそのまま入店できるフロア(3階)は食器などがあって普通のデパートかインテリアショップのように気軽に歩けたのだが、ほかのフロアはがらんどうで、店員が多く落ち着かない。中には場数を踏んでいるのか子供(それほど小さくない)を商品のベッドに寝転ばせて自撮りさせている親もいたが、わたしには、ちょっとそういう感覚はない。場所にいるだけで落ち着かず、すぐさま6階の書店で洋書を少し見て、隣のハンズへ移動。
ハンズでは文具のフロアを見た。厚くて趣のあるノート、機能的なノートがたくさんあった。お値段もけっこうしたものの、何かのおりにはこういう贅沢もいいかと思える空間だった。買い置きがたくさんあるので買わずに去ってしまったが、いつか出直して、吟味してみたい。
そのあとは小田急ハルクすぐ近くにある但馬屋珈琲本店へ。サバランと珈琲のセット1200円。連れはロールケーキとアイスコーヒーにしていたようだ。古くからの木造建築2階建てをそのまま店にしたような、近づいてみないと珈琲店だとわからないような場所で、以前から気になっていたが、やっと入店してみた。珈琲はさすがの味。ケーキは、そこそこ普通。だがサバランに「自家製のラムなので、香り付けに少し垂らしてみてください」と小瓶を渡されたのは、ちょっとうれしかった。
禁煙席かどうかの希望を聞かれなかったし、隣にやってきてほんの短い時間だがまとめて喫煙していた人を見て、ああいまどきの店ではないからなぁと考えた。そういえば新宿界隈の喫茶店では、喫煙可の店や、分煙ということになっていても実質的に喫煙席のような店(真横が喫煙席)などが、まだ多い。路上喫煙への対応が都内の多くの場所でとられるようになってから、こうした昔ながらの喫茶店に「まとめ吸い」に来る人もいるのかもしれない。
15年くらい前まで、タバコを吸うことがあった人間(少しをたまに吸うのではなく、吸う年と吸わない年が交互に来て、断続的に喫煙者だった)としては、吸うのをやめればいいのにというつもりはないが、喫煙というのはどんどん場所がせばめられていくし、値段も上がっていくし、やめたほうが経済的には得だろうなとは、ちょっと思っている。