東京に出てきてからずっと、早稲田通りに縁のある暮らしをしている。高校を出て最初に通った学校、つづいて大学は、高田馬場や早稲田の界隈だった。そしてそのころからずっと高円寺駅の北口方向(早稲田通り近く)に住み、この近くをぐるぐると引っ越している。
早稲田通りというのはとても長く、歩く気力があればの話だが、神楽坂から飯田橋を抜け、ゆくゆくは九段下へと迷わず到達できる。その目と鼻の先は東京駅だ。つまり家から東京駅まで(理屈上は)歩けることになる。足の疲れと排ガスで、とても無理な話ではあろうけれども。
高田馬場駅周辺はだいぶ変わったが、早稲田はまだ、馬場に比較して変化は少ないような印象を受ける。むろん、どちらも店の種類や雰囲気は変わり、昔ながらの店が減ったが、それはなにも馬場や早稲田ばかりの話ではない。東京はどこもそうだ。
東京新聞 2017.923 すし店主が郷土史エッセー 新宿「早稲田八幡鮨」4代目・安井弘さん
かっぱ巻きの考案者として知られる新宿区のすし店「早稲田八幡鮨(やはたずし)」4代目安井弘さん(83)が、足で調べた郷土史エッセー「早稲田わが町」を刊行した。かつて戸塚と言われた、同区西早稲田と高田馬場の人々の暮らしが伝わってくる。
長い年数をかけて、近所のお年寄りの方々から聞いた話などをまとめた本だという。小学校の時代に皇紀二千六百年(1940年)だったとの言葉から、わたしの田舎の母とほぼ同年代と知った。うちの母も大昔のことになると、よどみなくしゃべって止まらなくなる。
読んでみたい本が、また増えた。