ほんの1〜2年前までの認識として、だいたいオンラインの広告というものは閲覧者のブラウザから履歴やCookieを拾っては、それに関連しそうなものを表示させていた。つまり複数のブラウザを使い分けていれば、同じサイトをどのブラウザで見たかで出てくる広告が違っていた。
もう少し具体的に書くと、「楽天市場を見るときはブラウザA、爽快ドラッグはブラウザB、AmazonはブラウザC」と分けている人間には、楽天の広告を表示したいと考えるサイトにABCのどのブラウザで立ち寄ったかで、Aの場合は自分の実際の閲覧履歴に基づくおすすめ、BやCで見た場合は一般的なおすすめが表示される、ということだ。現在もこの理屈がそのまま通じるサイトもあるかと思うが、そうでもない例が増えてきた。
FacebookをブラウザCで見ているわたしが、楽天をブラウザAで見た数秒後にブラウザCのFacebookを見ると、広告が瞬時に(ブラウザAで見ていた)楽天商品に切り替わる。正直、どきりとする。以前より同一人物であることが容易に認識されるようになっている。おそらくはGoogleのIDなど、各ブラウザに覚えさせているIDが同じであれば同一人物ということなのだろう。実際、それは当たっているわけだが。
家庭で1台のパソコンをログインIDも分けずにブラウザ共有で利用している例がどれくらいあるのかは知らないが、こういう事例が増えていくことを思えば、すぐにでもやめたほうがよい。各人がログインするIDを用意してパソコンを使う、自分が使わないときはログオフをして家族にも誰にもパスワードを教えない、それくらいのことをしなければ、いろいろな危険がつきまとう。
どうしてもひとりひとりのログインなどやっていられるかという人がいた場合、ひとつの考え方として、大手サービスのIDを覚えさせておくブラウザをひとつに限定しておくのもよいかもしれない。そしてそのブラウザは自分だけが使う設定にして見つけにくくしておく。もちろん、利便性は下がるが、何もしないよりはよいだろう。
そもそもブラウザに大手サービスのIDを覚えさせておかねばよいのではという考えも、もちろんである。だがオンラインのストレージにさまざまなファイルをおいている人にとっては、検索した内容がウェブとオンラインストレージの両方から検索されるのは、癖になるほど快適だろう。なかなかやめられるものではない。
それにしても、検索もGoogleで、YouTubeもGoogleで、広告も地図も乗り換えもGoogle。対抗するものがあるとしたらYahoo!グループくらいだろうか。これだけ世の中に広く深く浸透している以上、クレジットカードと住所や電話番号などは、よほどの事情がないかぎり、大手のグループには渡さないほうが安心と思う。
わたしは楽天も爽快もAmazonも、ショッピングサイトとしては平気でクレジットカードほかを入れているが、いくらあの手この手で電話番号を入力しろとFacebookに言われても応じないし、先日も米Yahoo!のパスワード再設定で携帯番号を入れるようにという欄が出たがさらりと無視したら問題なかった。買い物する場所でもないのだから自分からすすんで渡す情報は最小限にしたいという気持ちは、今後も変わらないと思う。