今日の昼間にやってきた三井住友を名乗るスパムメールを見ていて、日本語はそこそこナチュラルなのだが、途中で出てきた「転送または、印刷して手交願います」に面くらった。
なかなか、ないぞ「手交願います」は…。自分の目もしくは日本語感覚がおかしいのかと、二度見したが、やはり「願います」がついている。
手交そのものもあまり耳にしないが、そこに「願います」がつくのは、はじめて見た気がする。ねんのためGoogleで”手交願います”と引用符でくくって検索してみたところ、今回のスパムメール以外は数件のみで、全体で17件のヒットとなった。
手交は「自分が」という状況で使われることが多いのではないか。
たとえば似た雰囲気で「持参」を例にとってみたいが「持参します」と当事者が言うことはできても、「持参願います」は、ない。対等もしくは話者が目上でもないかぎり「ご持参ください」も、たぶんない。話者が試験の監督官であり受験者に「受験票を持参のこと」と通達するのはかまわないが、対等な人間関係または丁寧な間柄ならば「持参」は避けて、「お持ちください」か「お持ちいただけますか」が普通ではないだろうか。
持参にはへりくだる意味合いがあるのだから、そこに「願います」とか「ください」を付けても、ちぐはぐなのだ——自分の感じた違和感は、そこにあった。
今回の「手交願います」を書いたのが日本語ネイティブなのかどうかはわからないが、違和感の正体を探る作業は、けっこう興味深いものだった。