母語と、学習で会得する言語

 外国のドラマが好きなので、有料チャンネルをかけたままにしていることが多い。アメリカの有名テレビ番組シリーズ Law & Order SVU (ローアンドオーダー 性犯罪特捜班)(*1)のCMが流れてきて、ちょっと面白いと思ったのだが…

“Arrest him” (逮捕して)
“For what?” (容疑は?)
“Breathing”(呼吸してる)

 もちろん、この「呼吸」をそのまま訳したら混乱するので、CMの字幕では「なんでも」としていた。生きている人間なら誰でもおこなうような動作(呼吸)で逮捕しろ、つまり「理由なんかどうだっていい」という意味になる。

 これは、わたしは聞いて面白いとは思うが、自分の口からは出てこない表現だ。頭でまず「何でもいい」と考えてしまうから、whateverを使ってしまうと思う。ここまでくると、言い回しにどこまで慣れているかという話になる。文字ではかなり英語のニュースを読み、外国のドラマはテレビで数知れずかけっぱなしにしているが、やはり母語ではないから、受け身の姿勢からなかなか抜けられない。

 こんなとき、日本語学習者とのやりとりで思い出すことがある。何かというと「大森貝塚」だ。20年以上前でまだあまりウェブも活発でなかったころだと思うが、日本語に関心がある人たちの参加する掲示板に顔を出していた。当時はメールで参加するnews groupというものがあったので、それかもしれない。文字中心の集まりだった。
 英語と日本語まじりの質問で「mori-kaizukaについて教えてください」、「mori-kaizukaとは、なんですか」というのがやってきた。日本人一同、しばし沈黙。ひとりがついに「それは地名か人名か」と尋ねたところ、「bigなmori-kaizukaを調べている。大がbigだというところはわかっているから、mori-kaizukaだけ質問した」と。大森貝塚のことだったのだ。いやいや、それはセットなのだ、切るところが違う(^^;。
 日本では地名や人名として大森はよく使われるので、さして疑問もなく大森と貝塚で切る人が多いだろうが、下地となる環境が整っていない学習者は、その「ピンとくる」感覚が培われるところまで、なかなかたどり着けないのだろう。

 英語は中学生で習いはじめ、ラジオやカセット教材で学んだが、けっきょく外国に出ることもなく、日本で学習していまにいたる。若いときに外国に出ていれば何か状況が違っていたかと思うとそうも言い切れないが、行こうかと考えたことは、実はあった。ほんの少しの事情であきらめたのだ。おそらくそのことがあってもなくても、何らかの理由をつけて日本にいたかもしれないとは、想像しているが…
 いまのまま、少しでも英語を忘れないように、可能ならば上達していけるように、がんばってみたい。

(*1)
 余談だが、日本語でのテレビ番組タイトルは性犯罪特捜班となっているけれども、SVUは性犯罪だけとはかぎらず、たとえば子供の誘拐なども扱う。Sepcial Victims Unit なので、「犯罪の被害者がある一定の人々の場合(年少者や女性など)に担当する部署」ということだ。

 

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