暴走老人という言葉があったが

 10年くらい前だっただろうか、暴走老人というタイトルの書籍が出版され、高齢者がキレ易くなった世の中を語るのに、その言葉が使われるようになった。

 今日は1時間半程度の近所歩きで2回も「怒鳴る高齢男性」に遭遇。ひさびさにその言葉を思い出した。

 西武線某駅に近い、商店街に差しかかろうかという住宅街にて、男性の声が響いた。早足でこちらに近づいてくるし周囲に人はいないので携帯電話を使用しているのだろう。こちらも真正面からその人物の顔を見て目でもあったら恐ろしいので、ちらっと盗み見た程度だが、その範囲でわかったところでは、60代以上のスーツの男性だった。いわゆる会社員らしくはないスーツで、勝手な想像だが自営業か自由業だろうか。

 最初にわたしの耳に飛びこんだのは「てめぇ二度と俺の前にツラ見せんなよ」である。てめぇがおめえだったかもしれないが、あとはほぼ間違いない。そこまで怒っているのだからすぐ通話を終わりにするのかと思ったら、意味不明なつづきがあった。「500万円だぞ。500万円。それをほら、50万円でいかがですかと言ってみろってんだ」…意味不明である。幸いなことにこのあたりでわたしとすれ違い、そのあとは聞きとれなかった。

 その後、その界隈での用事は済んだので自宅方向に歩いて、最後にスーパーで少しだけ買い物をしようと立ち寄った。そして店を出て、小さな橋のあたりに差しかかると、向こうからすごい勢いで自転車の男性(かなりリラックスした普段着とでも書いておこう)がやってくる。そして何かを怒鳴っている。だが頭が混乱した——「とても小型のヘッドセットをつけるような人に見えない上に耳にイヤホンらしきものも見えなかったが、いったい誰に怒鳴っているのか」と。わたしの角度からは見えなかっただけで携帯電話を使用していたのだろうか。手は両方とも自転車のハンドルにあったように見えたが、意味がわからない。
 なにやら恐ろしかった。

 どちらも住宅街と呼んで差し支えない場所だった。いったい何を怒っていたのか、そしてふたりめの男性は、もしやヤバい系(電波?)なのか。

 携帯電話が普及していなかったころ、人前で怒りをあらわにする場面があれば、自然にその相手の様子も目にはいって「これこれこういうことなのかな」と、なんとなくの判断ができたが、最近はそうでもない。相手の反応がわからないと、理不尽にただ怒鳴っている老人が増えたのだろうかと、思ってしまう。実際に高齢者は怒りやすくなっているのではと個人的に思っているが、誰しも自分の周囲の「個」の空間をそのまま人前に持ち出す機会が増えてきたことも、一因といえるだろう。

 いつも人前にいることだけは忘れないように、そして気持ちに余裕を持って歩いて行けるように、気をつけたいと思う。

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