麻疹と聞くと、どきりとする。幼少時からずっと、わたしはなぜか麻疹にかからないと親が嘆いていた。麻疹の同級生がいるとわざと遊びに行かされた。訪れられたほうも迷惑だろうが、こちらも親に言われて仕方なく出かけていたので、落ち着かない時間を過ごしていたような記憶がある。もちろん先方の親にもうちの親から「麻疹がまだなので遊びに行かせます」と連絡済みであった。
それでも麻疹にかからなかった。それはあまりにも妙なので、もしや幼児のころに医者から風疹と言われたものが麻疹だったのだろうかという親の説に首をかしげつつ数十年である。風疹と麻疹が似ているものなのか、医者が言い間違えたのか親が聞き間違えたのか、とにかくそんなことがあるのだろうかと思いつつ、ときどき聞こえてくる「麻疹が流行」という言葉に、おびえている。
人づての話やネットでの検索では、抗体があるかないかの検査だけで7000円前後かかるという情報があり、ワクチン接種は1万円以上という話もある。両方合わせて2万円近くの出費になるのは、かなり困る。
流行というものに縁がない暮らしをしているが、こういうときばかり流行に乗ってしまったら困るので、混雑のひどいイベントには出ないというくらいしか策は思い浮かばないが、気をつけなければならない。