May 10, 2005

映画:幻の湖

以前から話題作(?)と聞いていた「幻の湖」をレンタルDVDで。
(注:この作品は検索するとネタバレサイトが大量に引っかかるので、要注意)

1982年の作品。すでに引退してしまったらしい南條玲子が新人のころに主演したもので、東宝50周年を記念してキャストは超豪華、そして原作・脚本・監督は橋本忍(←のリンクを見ていただければわかる通り、映画界において数々の名作に携わってこられた人物)。

なぜこれだけのキャスト、スタッフが揃っていて、1週間で上映が打ち切りになる伝説のカルトムービーができあがってしまったのか。――数ヶ月前にネタバレサイトを読んでしまっていたものの、気になって仕方がなかったのでDVDを借りてみた。
(ちなみに近所のレンタルビデオ屋には見あたらず、TSUTAYAの郵送レンタルサービスDISCASで予約)

琵琶湖の西側を、白い犬と走るトルコ嬢(現ソープ嬢)。さまざまな季節を白い犬と一緒に走るシーンを中心に冒頭はジョギングばかりを描く(便宜上ジョギングと書いておくが長距離コースを短距離レース並みの速度で走るシーンも多く、普通のジョギングを連想すると微妙に実際と異なるかもしれない)。そしてシーンはいきなり彼女が勤める時代劇風ソープランド。彼女の源氏名は「お市」。そこでは時代劇のようなコスチュームをやめて現代風にするかどうかなどの従業員ミーティングがあって、かたせ梨乃(淀君)がちょっとばかし威張っているシーンが出たり、「お市」が自分によくしてくれた銀行員を通じてたっぷり預金していることなどが会話に出たりする。。。まぁ、どうでもいいといえばどうでもいい導入部分。

そして、彼女の犬が都会の人間に殺される。人間が殺されたかのように捜査に協力的な警察官や周囲にびっくりさせられるが、ともあれ彼女は犯人の糸口をつかみ、それらしき人に会うため東京へ。やっと名前や住所などの個人情報をつかむと、家の前に張りこんで……。ここから先はまぁ、普通はない展開(この映画そのものが「普通はない」だらけなのだが)。

このあたりで、見はじめてから2時間近くが経過していた。長い映画とは聞いていたが、ここまで「山場のない2時間」だと、一息に見るのがつらく、いったんストップを押した。

気力をふりしぼって再開。
琵琶湖にもどった彼女、銀行員と結婚して幸せになるという選択肢もある。ふたりが琵琶湖のまわりをドライブしていると、なななんと、2年も住んでいて初めて見た湖の東側には、彼女の知らない一面があった……!(←2年も住んでりゃ、気づけばいいのに)

まあ、このあと、戦国時代の織田信長やらお市の方などが豪華キャストで少しだけ出てきたり、命を賭けたマラソン勝負があったり、宇宙飛行士が出てきたりします。はい。とにかく、詰めこみすぎなんて言葉は甘いくらいに「わけわかんね〜!」の状況。

ひとつだけ言えるのは、南條玲子が演じた主人公は思いっきり自己中ということ。こんなにも、絵に描いたような自己中は見たことがない、世の中はぜんぶ自分のまわりをまわっているかのような、強烈な思いこみ人間。人間これだけ思いこめたら、逆に幸せかもしれない。

それにしてもこの映画、誰も事前に口を出す人がいなかったのだろうか。ちょっと考えればおかしすぎると思う。もちろん、この程度のおかしさなら世の中を探せばいくらでもあるかもしれないが、それにしても「東宝50周年」と、この内容のギャップがすごすぎるのだ。

Posted by mikimaru at 09:08 PM | コメント (0)