警察学校を卒業することなく、退学という形式をとってマフィアへの潜入捜査を命じられたヤン(トニー・レオン)。時をほぼ同じくして警察学校を卒業しエリートコースを歩んだマフィアのラウ(アンディ・ラウ)。第一作の最後でヤンは命を落とすのだが、この三作目でラウはその苦悩をたどる。生活がうまくいかず、真人間に生まれ変わりたいという思いも強く手伝って、彼は自分の中にヤンを作り上げていく。
この作品では、これまでになかったシーンを撮り足して話に含みを持たせ(*1)、単なる誰かの回想ではなく「複数の時間が同時進行」で描かれる。映画の本来の時間ではすでに死んでいるヤンの存在がみずみずしく、トニー・レオンは1作目よりも表情が明るい――これは部分的にラウの空想としてのヤンが混じるためではないかとも思われるが。
シリーズぜんぶがおすすめ作品。
(*1)撮り足したのか、撮ってあったのを今回出したのかは不明だが、おそらく撮り足しだろう。