October 23, 2004

映画「リリイ・シュシュのすべて」

岩井俊二が2001年ころ監督した作品。ストーリーとしては救いがない。希望がかけらもない。画面ばかりきれいで、内容は凶悪かつ悲惨。途中で何度か嫌悪感のため画面から離れたが、最後の5分というところで、新潟の大地震のため東京も大きく揺れた。見たくないという思いから脳しんとうを起こしたかと勘違いをした意味では、忘れられない映画になってしまった。
(新潟の皆様、近県の皆様には心よりお見舞い申し上げます……最近こういうのばっかりだけれど、新潟の皆さんは夏に洪水でたいへんな思いをされたのに、気の毒でしかたない)

ストーリーとしては、栃木県佐野市の中学生たちの物語。リリイ・シュシュという女性の歌がちりばめられ、チャットの画面が高速で流れるのがオープニングから前半にかけて。全編に共通して言えるのは犯罪だ。最初から犯罪、途中で何度も犯罪、最後までもやっぱり犯罪。舞台の一部に足利市も出てくるのだが、あのあたりに土地勘のある身としては複雑な気分だ。田園風景や中途半端な規模の市街地という意味では描き方にリアリティがあるので、たしかにあのあたりでロケをしたのだろう。だがストーリーとしての内容に田舎臭さがない。隣んちの誰それさん、三軒先の誰それさんの話題がインターネット並みの速度で近所に伝わるド田舎(とまで書くと失礼か?)で、あのレベルの犯罪はないだろう。そのあたりのギャップが大きく感じられた。

岩井俊二のスワローテイルは大好きだ。期間をあけて2回レンタルした。ピクニックなどの古い作品もレンタルで見たことがあるし、作品数としてはけっこう見ているかもしれない。だが、この映画はいったい何が言いたかったのだろう。失礼ながら、「僕は(僕の作品は)いつまでも若くて現代的だろう」と、それだけが言いたい映画に思えてしまった。

Posted by mikimaru at October 23, 2004 08:43 PM
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