October 29, 2004

映画:ドッグヴィル

ラース・フォン・トリアー監督作品、主演ニコール・キッドマン。

フォン・トリアー監督といえば、デンマークのテレビ番組「キングダム」の何話かが映画として公開されたのが約10年前。飛行機が嫌なのでアメリカでは撮影しないと言ってヨーロッパで撮影された映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(舞台の設定はアメリカ)は記憶に新しい。この作品ドッグヴィルもまた、アメリカの田舎町が舞台だ。

ある夜に一発の銃声が聞こえ、その銃声から逃れてきたと思われる美しい女性ニコール・キッドマンが、最初に出会った男性の厚意により町に滞在することになる。二週間以内に全員の理解を得られない場合は出て行くことになるため、行くあてのない彼女は各家庭のちょっとした手伝いをしながら人々と交流していく。

閉鎖的などという言葉では表現しきれない閉塞感。近隣の町から通じる道は一本。村という名の密室にひしめく20〜30名の人々。ときおりやってくる警官は尋ね人(ニコール・キッドマン)の貼り紙をしていく。彼女は悪い人間なのか、危険なのか? ようやく得られるようになった好意は敵意、憎悪、そして家畜やモノでも見るかのような視線に変わっていく。

まず、最初の1分で「あれ?」と思うのは、今回はヨーロッパでアメリカのふりすらしなかったことだ。屋外ですらない。これは見てのお楽しみだ。

行くところがないからという理由だけでなく、彼女はほんとうに村に溶けこもうとしていた。ささいな用事をこなすため家々をまわり、自然な笑顔で交流した。だが返ってきたものはなんだったか? あまりにも残酷で理不尽な仕打ちには、ときおり嫌悪感を覚えてビデオのスイッチを切ろうと思わせる迫力があった。彼女にはなぜ追っ手がかかっているのか――それは最後の約20分くらいにならないとわからない(この映画はとても長く、約3時間ある)。そして彼女が選んだ道とは?

あれだけの内容であるし、よい結末とは言い切れないだろうが、なぜか最後に救いを感じた。

Posted by mikimaru at October 29, 2004 06:31 PM
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