May 30, 2005

「テレビのチカラ」という番組

人から低俗だと笑われようと、月曜日になるとチャンネルを合わせるのが「テレビのチカラ」。何回かに一度は難事件のレポートが事件を掘り起こすこともある。先日は警察が事件性なしとしていた数年前の男性行方不明事件が、実は殺害と死体遺棄だとわかった(関係者がテレビを見て反応し、そこから芋蔓式に殺害の当事者まで行き着いたのだが、遺体は見つかっていない)。

だがこのところ、なんともテレビの怖さを感じさせられる放送が増えている。

失礼な表現かもしれないが、ネタがないのかもしれない。番組が終わってから冷静に考えると、依頼者もしくは番組スタッフのどちらか(あるいは両方)が、深刻な事件性というよりはテレビで強引に公開捜査したほうがよいと思って実行に踏み切ったケースもあるように感じてしまう。

それはそうだろう。探す側はテレビに出て私生活の一部と顔が出る羞恥心を乗り越えられれば、あっという間に情報が手にはいる。幼児や小学生でもなければ警察も世間もまず家出を疑うので、誰も真剣には探してくれなかっただろうが、テレビに出ればあっというまに教えてもらえる。――ここまで書いたら書きすぎなのだろうか? 依頼者の誰も彼もがそうだとは思わない。だが、何万人もの人が自主的に失踪している世の中で、客観的に見て失踪の疑いが強いと思うものをことのほかテレビでとりあげるのであれば、少なくともテレビ局側には、もっと慎重さが求められてよいように思う。さもなければ「探される側の事情」は、どうなってしまうのか。

依頼者の側に理由があって、探される側は真剣に逃げているケースもまた、何回かに一度は存在しているかもしれない。それが生放送で、簡単なプロフィールや顔写真とともに「指名手配」されてしまうのだ。これは探される側にとっては大きなダメージとなるはずだ。

実際に助かっている人たちもいる。殺人や重大な事件だったとわかったケースもあるだろう。だから番組そのものが悪いと言うつもりはない。だがわたしは、探される立場の人が気の毒に思えることがときおりあるのだ。もしも自分がテレビの生放送で指名手配をされたら、依頼者が誰であれ、その人と信頼関係を築いていくことはもう二度とできないと思う(その前に、そもそも失踪する予定はないが)。

Posted by mikimaru at May 30, 2005 09:07 PM
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