September 12, 2006

北森鴻「花の下にて春死なむ」

先日この作家の短編シリーズで、異端の民俗学者「蓮丈那智(れんじょうなち)」ものを2冊読んだのだが、初期のころに評価されたきっかけのひとつである本作「花の下にて春死なむ」のタイトル(言葉の響き)が気になって、読みたいと思っていた。

また今月も「のだめカンタービレ」を買ったので、そのついでに注文。

三軒茶屋の小さなビアバーに集う常連客らと、料理上手で博識な店主「工藤」が中心となった連作短編だが、冒頭に掲載されている表題作がほんとうにいい味を出していた。

故郷を離れ、過去を隠して生きていた俳人。誰にも看とられず孤独な死を迎えた男は、過去へつながる言葉を密かに残していた。人知れずにかすかなつながりを持っていた女性は、彼の形見を故郷に帰すため、調査を始める。

その後も同じ店を舞台になぞめいた話がつづいていくのだが、一度に読むものではなかったかもしれない。表題作の余韻を大切にして、あとはゆっくり読めばよかったかと思う。とくに最終話で、その思いを強くした。最終話は冒頭の話と主要な登場人物がかぶるのだが、う〜む。。。何ともいえない。。。一度に読まない方がいい本もあると、気づいた。

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Posted by mikimaru at September 12, 2006 04:07 AM
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