岩井俊二監督作品、スタッフ詳細は → 公式サイトへ。
予備知識ゼロでレンタルした。去年の秋に同監督の「リリイ・シュシュのすべて」で嫌な気分になり、それにくらべてこちらの作品はよいとの噂を聞いていたのみだ。最初のうちこそ展開に苦笑したが、骨格となるその部分だけは、おとぎ話だと思ってしまえばよい。骨格以外のストーリー細部や登場人物たちは、たとえ一瞬で消えてしまう脇役であろうと生き生きしていた。
少女たちが中学から高校に進学する時期に始まり、雨の時期を過ぎて、夏になるまでを描く。鈴木杏が演じる「花」はある男の子に恋をし、彼女の親友「アリス」(蒼井優)は原宿でスカウトされる。目の前であこがれの先輩が怪我をするのを見ていた花は、最初は冗談のつもりで、彼に罪な嘘を告げる。そして彼はそれを真剣に考えはじめた。小さな嘘だったものが、事情をよく知らないままにアリスが協力したこともあって、やがて彼にとっては「事実」になりかけていく。そのことで、親友ふたりのあいだに、少しずつ葛藤が生まれる。
前作(リリイ〜)と違って、安心して見ていられる。何より蒼井優がよかった。与えられた役どころがとてもよいことも幸しているが、表情や仕草がみずみずしい。自然体で演技しているようにも見え、それと同時に内面が大人であることを嫌味なく感じさせる。父と母それぞれに見せる態度の違いもおもしろい。キャスティングでは鈴木杏がトップだが、ストーリーのなかでは彼女が演じたアリスのほうがよく描かれていた。
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