October 02, 2005

映画:痩せゆく男

ツタヤのDISCASでレンタル希望にスティーブン・キング作品をけっこう入れているが、先日到着したのがこれ。英語での原題は Thinner だ。

ジプシーの老女を交通事故で殺害してしまった弁護士が、フェアでない審理の末に無罪となり、その審理に荷担した仲間たちとともにジプシーの長老に呪いをかけられるという話。

――それ以上でも以下でもないし、とてつもなくひねりがあるとか、何か特別に期待をさせることはないのだが、見終わってから頭を抱えている。それはデジャブといえばよいのか、最後のシーンで重要なアイテムとなる「パイ」の使われ方だ。

以下、もしかするとネタバレになるかもしれないが、ご了承を。

Internet Movie Database(英語)によると、この作品は1996年作で、ほかに映像化された記録はなさそうだ。そしてわたしはスティーブン・キングの作品は圧倒的に映像で見ているものが多く、活字で読んだ作品の中にThinnerは含まれていなかったと、ほぼ言い切ることができる。またこの作品を見たのも初めてだと、これも8割以上は自信がある。

……だが、あのパイの使われ方には、役割としても映像としても、細部に至るまで生々しく既視感を覚えた。まるでそれによってうなされた過去があるかのように、子供のころにそれで怖い思いをしたかのように、とても深いところで脳が反応した。

パイと「血」といった要素は、もちろんイギリス料理にもあるし(肉を使ったパイ料理、キドニーパイなど)、映画などで描かれることはあったかもしれない。だがああいった「呪い」との組み合わせや、人を怖がらせる小道具として出てきた作品が、何かほかにあったのだろうか。それがどうしても思い出せない。

わたしが忘れていただけで、今回の作品をテレビ放映などで最後だけ見たことがあった、というのが妥当な推測かもしれないが、それにしても見てから10年以内でこれほど(ほかの細部が)記憶から消えてなくなるものだろうか。しばらくは悩みそうだ。

Posted by mikimaru at October 2, 2005 02:22 AM
コメント

呪いとは関係ないと思うけど、パイがよく出てきたといえば「ツイン・ピークス」なんて印象に残っていますが。活字の「痩せゆく男」は最初はリチャード・パックマン名義だったから、キングとは知らずに読んでいた、なんていうことはないですよね。f(^-^; ポリポリ

Posted by: どん@雪 at October 4, 2005 12:44 AM

わたしは「ツイン・ピークス」をちゃんと見ていなかったんですが、チェリー・パイについてはよく覚えてます(^^)。

そうそう、ある人に今回のあらすじを話して意見を聞いてみたんですが「それでパイがハート形ならどこかで見た記憶がある」というんです。つまり、映像的な断片またはモチーフとしては、何となくある話なのかもしれません。

Posted by: mikimaru at October 4, 2005 08:15 AM