割と時代劇などは好きなほうで、フジテレビのテレビ番組「大奥」も、だいたいのところは見ている。(しかし眉がほとんど見えない小池栄子は怖くてたまらないのだが…、誰がキャスティングしたのだろ ^^:?)
テレビ番組で見る大奥とはきらびやかでおもしろそうな場ではあるが、将軍の子を宿し育てることだけを目的とした機関であることを思えば、表現は悪いが(毎日むりやり餌をやって卵を産ませる種類の)養鶏場と大差なかったように想像する。もっとも、追いつめられて疲弊するのは伽をつとめる女性たちだけとは限らず、乳幼児の死亡率が高かった当時において少しでも多くの種を世に残さねばならないとされた将軍本人も同じことだっただろう。
何ヶ月か前、こんな本を見つけて読んでみた。
徳川将軍家十五代のカルテ
著者の篠田達明は作家であると同時に整形外科医でもあり、歴史的な資料ををもとに医学的な見地から徳川家の人々に診断をくだしている。
将軍らの死因や生前の罹病については章を分けて解説し、それとからめて当時の世相をつづっていく。たとえば医師を何人もかかえる将軍家であろうと、やはり高かった子供の死亡率――そのため長子が家を継ぐとは限らず、何番目かの子に順番がまわってきた。
この本はまず歴代将軍と主だった側室の身長からはじまる。当時は一般人より食生活がよかったであろう方々でも、やはり将軍が150センチ台、正室や側室は140センチ台だ。将軍については死亡ののちに等身大の位牌が作られる習慣があったために、ほぼ正確な身長がわかっているという。
死亡時に成人であった五代将軍綱吉は慎重が124センチ(病気による低身長)で、これは子供のうちに亡くなった七代将軍よりも背が低い。あきらかな病気にかかっていたと思われる将軍は計三名だが、こうしたことは映像としての時代劇ばかりを楽しんでいてもなかなかわかりにくい史実ではないだろうか。
かなり薄くて読みやすいので、ちょっとした機会におすすめの一冊。
Posted by mikimaru at October 21, 2005 01:06 AM日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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