March 19, 2005

通院のこと (4) - 最終回 -

3月14日のこと、後半。

そして指定された大きめ病院に到着。途中から合流してくれた家族があれこれと手続きをしてくれたので、とても助かった。

紹介された皮膚科の専門医は、紹介状に目を通し、わたしの話を聞き、資料を当たって、かなり早い段階から全身性の帯状疱疹の可能性は捨てていた。もしわたしにもう少し多くの症状が出ているのならば、ベーチェット病という病気も可能性があるという。血液検査、尿検査のあとで、念のために眼科にもまわるように指示され、ぜんぶ終わったらまた皮膚科にもどるようにとのことだった。最後に疱疹をひとつ切り取り、皮膚サンプルとして検査をするためだ。

(結論を先に言うと、これを書いている3月19日現在、まだ病名はとくに告げられていない。検査結果が揃っていないのだ。ベーチェット病という言葉でこの記事にたどり着く方もいらっしゃるかもしれないが、途中経過として外せない単語なので、書かせていただいた)

血液、尿に関しては誰しも経験のあることなので珍しさはないだろうから、眼科について書く。わたしは子供のころから視力がよかったので(いまはそうでもないが)、眼科にはこれまで1〜2回しかかかったことがなく、いろいろと新鮮な体験だった。

何の検査だかわからないものを二種類(眼球に一瞬だけ強い風を吹きかけるものと、もう1種類は説明がなかったが色鮮やかな気球の写真を見せられた)やって、そのあと視力を検査した。それが基本的な検査。そのあとで、医師と面談しながらの眼底と眼圧の検査があった。

おそらくこちらが眼圧の検査だと思うのだが、眼球を指示される方向に動かしながら、コンタクトレンズのようなものを医師が入れたりはずしたりしつつ、わたしの眼球を観察していた。

この日わたしが自覚のないまま熱を出していたことはすでに書いたが、頭もぼーっとしていたらしい。それはこの日に「早く治ってお鮨が食べたい、わさびが利いていると口内炎に染みるから、イナゴがいいな」と言い間違えたり(もちろんアナゴである)、水曜日のことを「3日」と何度も言ったり(月曜から数えて3番目だからか?)したことからもあきらかだが、何とこの眼科医の前で、妙なことを言ってひんしゅくを買った。

「はい、右を見て」と指示されたとき、わたしは生まれつき眼球の動きがとろく、楽に動かせる方向が一部制限されているのだが、「目の筋肉が弱くて…」と言えばいいところを「生まれつき視神経が弱くて右が向けない」と、間違ったことを専門家に向かって言ってしまったのだ。

「視神経と右を見ろという指示は関係ないんですよ」と、わたしより若そうでテキパキした女性医師に、きっぱり言われてしまった。「誰がそう言いましたか、眼科医ですか。それとも伝聞で誰かから聞きましたか」と、つぎつぎにまくしたてる。落ちついて丁寧に説明すると、どうやら言い間違いだったことをわかってもらえたようだ。

次に、もうひとつの検査の前に「近くを見えにくくする目薬をさすので、効果が出るまで30分ほど廊下で待っていて」ということになった。「この目薬をさしたら3〜4時間は車の運転ほか精密機械に触れるような仕事をしないでください」と2回も念を押されたが、わたしはただ痛み止めをもらって寝たいだけなのでなんの問題もない。目薬をさしてもらった。

(この段階でお昼の12時をまわっていた)

廊下で30分近く話をしていると、奥から人が出てきて「目を見せてください……ああ、だいぶぼやっとしてきましたね。では、次にお呼びします」と言う。家族に目を見てもらったが、どこがぼやっとしているかはわからないと言う。わたしもとくに視界が変化した自覚がない。ただ、ときどき明るい場所や白い壁を見ているとゴミみたいなものが見えることがあるが(飛蚊症、ひぶんしょう、というらしい)、それが消えた。そうか、あの蚊は近くにいて、近くが見えなくなる目薬をさすと消えるのだ。

そのあと、また同じ医師に片目ずつ光を当てられ、指示通りにあちこちに眼球を動かし、念入りに検査してもらった。ズバズバものを言うけれど仕事のできそうな医師だと、たった30分くらいで信頼をいだいていたので、やがてその人が「飛蚊症があるにせよ、いま以上に悪化しなければ何も問題はない。悪化して心配になったらまた来てください」と言ってくれたとき、とても安心できた。

さて、皮膚科からは、詳しい結果が出るまでは鎮痛効果のある薬が出ることになり、眼科からは何も出ないことになって、やっと会計となった。おそらくこのとき午後1時は楽にまわっていた。

病院の前に薬局が二軒あり、片方はガラガラで誰もいない。最初は二軒あると気づかずそちらにはいってしまったのだが、薬の一部が品切れということで、もう一軒のほうに行くと、20分待ちの大繁盛。どういうことなのかわからないが、とにかくそこで薬を出してもらった。家に帰ったらすぐ飲もう。土曜からの念願、痛み止めがやっと手にはいったのだ。これでやっと体が楽になるのだ。

その病院から家までは徒歩だと健康でも20分以上かかるので、タクシーに乗った。雪がちらつきはじめたところだった。積もらなければいいがと思いながら、家の近くでタクシーを降りた。

そのとき、路面に描かれている白い標識や、横断歩道の白いラインが妙に立体的に見えて、目薬の影響が出てきたことがわかった。あちこちに目を走らせると、白いものはとにかく立体的で、熱のせいもあるのだろうが、何を見てもけらけらと笑いが出そうになってくる。たったあれだけの目薬で、人間の目がこんなにおかしくなるなどと、想像をしたこともなかった。

いろいろなことを経験した半日だったが、これでやっと眠れると思うと、それだけが嬉しかった。

Posted by mikimaru at March 19, 2005 01:30 PM
コメント

まぁ。。。わたいもその近くがぼやける薬、さした事がありますよ〜。頭の中がぐるぐると回ってるみたいで気持ち悪くなった記憶が。。。(^-^;
元来、わたいは目が悪いので、ちょっと目の調子が悪くなると、しょっちゅうちぇりさんが今回行ってきた検査をさせられて、涙をこぼしていたわたい。(>у<)ぷっ
(目を弄くられるとすぐに涙が出てしまうほど敏感なの〜)笑
あのプッシュッと目に風を送られる検査が眼圧を測るモノで、わたいはあれが大嫌い。涙が出てしまうので、すぐに目を閉じてしまうから、「もう1回やりますよ」と看護婦さんから言われると、心の中で「えーっ」とか思っていたり。(^ ◇ ^:)
しかし、大変でしたね〜。早く痛み止めが欲しかったでしょうに、病院の移動までしていただなんて・・・(゜o゜;)ひょお
けれど、回復傾向に向かわれていらっしゃるようなので、安心しておりますが、またぶり返しがないのかしら!?
原因はもうわかっていらっしゃるのかな〜。。。なんて、ちょっと心配しております。

Posted by: ももんた at March 20, 2005 05:26 PM

ももんたさん、コメントありがとう!
そうですか、あの「シュッ」とやるのが眼圧の検査なんですね。間違えて覚えてしまうところでした。

わたしが目医者に出かけたのは、田舎にいたころ目の周りの皮膚がかぶれてしまって、目が原因なのか何なのかわからないので薬を塗ってもらいにいったときです。あともう1回くらい、あったかな…?

おでこにもひとつ今回の疱疹みたいなのが出ていたので、検査のとき「おでこしっかりくっつけてください」と言われるのがつらかったですが、それ以外は、珍しかったので、なんとかがんばってしまいました。

次の通院はけっこう先なので、そのとき病名がわかっているか、あるいはわたしが先に治っているか、どちらだろう。。。再発がなければ、ありがたいと思ってます (^^) 。

ご心配をおかけしました。完治に向けてがんばります。

Posted by: mikimaru at March 20, 2005 06:03 PM