March 28, 2005

ボビー・フィッシャーさん出国

偉そうに書いているものの、恥ずかしいことに出国のニュースを聞いて初めてこの人のことを知った。いままでまったく知らなくて申し訳ない。

フィッシャーさんはチェスの世界チャンピオン。ある事情によりアメリカから旅券停止の処分を受けていたが本人はそれを知らず(下記URLによると本人が滞在していないフィリピンにその通達があったので、不服申し立てもできなかった)、滞在していた日本を出国しようとした際に入管法違反に問われ、茨城県の東日本入国管理局に8ヶ月間も拘留されていたとのこと。
http://www.jca-chess.com/bobby.htm

アメリカの法律で考えても不手際があり、日本の国内でもそれを指摘する声のほか人道的な配慮を求める活動があったにもかかわらず、なぜここまで理不尽なことができるのだろう。フィッシャー氏を迎えてくれたアイスランドもアメリカとのあいだに身柄引き渡し条約があるそうだ。立場は日本と同じなのに迅速に動いた。日本での8ヶ月、政治家はこの問題にまじめに取り組んだといえるだろうか。とてもそうは思えない。

それにしても恐ろしいのは、チェスのチャンピオンであり世界的な著名人でもこの扱いということだ。無名な人がこんな目にあったら、そして支援者もいなかったら、8ヶ月などでは済まないこともじゅうぶんにありえる。実際に今年1月など、日本は世間の注目を浴びていたクルド人親子をトルコに強制送還しているが、これなどはまったく理屈の通らないことだ。

いったい、日本という国は、何様なのだろう。誰が誰のために、どんな理念のもとに動かしているのだろう。法律と政治(外交)などいろいろな問題が複雑にからんでくることは想像できるが、最優先されるべきは、人が不当な拘束や迫害をされないための配慮ではないのだろうか。ときどき、自分がこんな国に住んでいることが恥ずかしくなる。よその国がすばらしいと言っているのではない。この国がだらしなく思えるのだ。

Posted by mikimaru at March 28, 2005 03:23 AM
コメント

 この問題、うちでも取り上げようかと思ったけどやめました。最初はなぜ日本にいたのか、なぜ拘束されたのか、なぜアイスランドが受け入れたのかと調べ甲斐があったんですが。

 アイスランドが受け入れたのは、チェス界のトップが東側ばかりだった冷戦時代に、初めて西側として勝利し英雄として祭り上げられた開催地がアイスランド。で、当時を知ってる人たちが手助けをしたんだなは推測できるんですが、なんで日本にいたかは、日本食や温泉が好きだからとか、ユダヤ人が嫌いで一番遠い場所にいたかったとか諸説ありすぎて不明。拘束については新聞報道では真意がわからない。個人的にはアメリカの犬の小泉が点数稼ぎで抑えたものの(92年に米国大統領違反を犯し雲隠れしたので)、すでに市民権がなく、そのまま放置されてしまったのではないかと。総理大臣、放置プレイ好きだし。

 もっとも取り上げるのをやめた最大の理由は彼の人間性。9・11事件のときは「素晴らしいニュースだ」と笑い飛ばすし、マスコミ嫌いはいいとして、ユダヤ人の迫害や女性に対する蔑視は凄いらしい(でも彼はユダヤ人)。ラジオで「女性は弱すぎる、やってられない」とも言い放ったとか。途中だったけど調べるのやめちゃいました。

 この国がだらしがない、は同感。外国人はおろか、日本人すらまともに人権を尊重しているのか?という報道が年々増えている気がする。というか、尊重していないことがどんどんバレているのが正しいかも。困ったもんだ。

# 暴言多いんで、ここに相応しくないと思ったら削除しちゃってください。

Posted by: kodapapa at March 29, 2005 01:09 AM

kodapapaさん、こんにちは!

人間性やいろいろな面から見て納得ができない(または共感できない)という意味から発言を控える、またはブログなどで記事にしないという人がいることは、わたしは納得ができますし、人が何かをする上での動機としては、正直かつ明快と思います。
(せっかくのご意見を、削除などしませんよ ^^;)

わたしがいくつかの記事を読んだ範囲で想像していたのは、パスポート無効とまでは知らなくても、帰国すれば罪に問われることはわかっていたのであちこち移動していた、ということなのではないかと。(それが事実かどうかはわかりませんが、私見)

でもまあ、今回の件は、行政がそういったこと(人間性や言動)を考えて判断を遅らせていたわけではなく、ポイントとなるのは、8ヶ月「放置」されていたことですよね。誰かの判断がくだるまではどの機関も積極的に手を出さなかったということ、それがだらしなく思えます。ひとりの人間の長期拘留などは、国と国との摩擦を避けることを考えれば、積極的な考慮にも値しないという態度だったのではないか、と。

そういえば、以前に吉田メビサちゃんの件もありましたね。1年だけの滞在許可、その後も毎年更新をすれば認められるのではないかという態度だったと思いますが「13歳の子供にどこに住めっていうんだ」と、憤慨しました。

Posted by: mikimaru at March 29, 2005 05:26 PM

そういえば最近、残留中国孤児のご主人の話もありましたね。
奥さんが残留中国孤児で、ご主人とお子さん共々、日本に帰国されたか、帰国を希望されていたんですが(うろ覚え)、孤児であった奥様本人が亡くなられたことで、お子さん達は日本での滞在許可が下りたけれども、ご主人の分だけは許可が下りなかったという。

ご主人はかなりご高齢らしく、子ども達は日本で父の面倒をみたいと希望しているのに、許可が下りなかったという話でしたよ。

許可しない理由も
「あんたは日本人じゃないし、日本人の奥さんが亡くなっちゃったんだから、もう権利はないのよ。そういう決まりなの。」みたいな杓子定規なもので、釈然としなかったわ。(-"-;)

Posted by: どん@雪 at March 30, 2005 02:22 AM

あっ、その話、よく理解していなかったんです。ありがとうございます。

ニュースでそれらしき話を聞いて「よくわからなかったから、もう一度やらないかな」と思っているうち、忘れかけていました。

日本人はよその国から来た人に冷たい。ろくな保護もしないし権利も与えない。それなのに長期滞在者には年金を払えと言っているらしいです。このあたり、やや記憶が曖昧ですが、少なくとも十年くらい前に、長期滞在のアメリカ人男性が「誰が払うか」と怒っていました(一生日本に住むかどうかもわからないのに、という意味だと思いますが)。

Posted by: mikimaru at March 30, 2005 06:11 PM