April 10, 2006

ネットに思う、「お隣さん」意識

最近、「信じられない植物」を設置したり、ブログにもともとの知人以外のお客さんからコメントをいただく回数が増えたりといったことで、自分の場がローカルではなくパブリックに少しずつ近づいていると感じるようになった。

本人がそう感じるようになっても、まだまだと感じる人や、とっくにと思う人もいるだろう。厳密な線引きはできない。本人の意識が「まだまだ知名度も低いし、お友達もたくさん利用してくれる自宅脇の私道」であっても、他人から見れば、大通りまですぐだし便利だから通らせていただく、といった程度の「ただの道」である可能性もある。これまでもこれから先も、そういった意識の差は(誰のせいでもないが)ずっと生じていくと思う。

さまざまな無料サービスに関して、どういった経緯で情報が流出したり悪用されるかわからないから、利用するには偽名と偽データを入力するようにしていると明言した人を、わたしはふたり知っている。「嘘ついてまで利用するなよ、提供する側の身にもなってみろ」と言いたいのを、ぐっとこらえた。――いいとこ取りをして相手には嘘をつく、それがネットなら許されるのかと。相手が信頼できないなら、そもそも利用しなければいいではないかと。

理解ができないわけではない。だが意図を理解することと、実行にためらいがない人を目の前にするのはまた別の話だ。わたしは自分が嘘を書いて無料サービスに登録することはあり得ないと断言できる。嘘を書かずに済む「記入欄が少ない無料サービス」になら、そこそこの数を登録している。

さて、嘘を書く云々まで極端ではないにせよ、わたしのところで植物を栽培している人たちに、同じような「おそるおそる」といった意識があったとしても、それは無理もないことだと思う。登録内容ひとつをとっても、最初から自分のサイトやメールを記載している人もいれば、何も書かない人もいる。ジョークかもしれないが、わたしが見れば嘘だとわかる内容を堂々と載せている人もいる(非公開扱いにして書いているのだから、わたしに笑ってもらおうというのか、あるいはわたしが管理者だということを忘れて本気で嘘を書いているのか、そのあたりは不明だが……)。

だが問題は、何を書いた、何を書かないではない。場を共有していく以上は、願わくばお互いになんとなく仲良くできることが理想だが、「おそるおそる」をずっと引きずっていくのならばまだしも、開き直りに転じていく人も残念ながらいる。ひとりくらい嘘をついても、ずるをしてもいいだろうという態度、文句があればIDを消されるだろう、消されないのだから見られていないといった態度に変じていく過程は、見ていてとてもつらい。声をかけるタイミングもわからない。そのためわたしはつい最近になって、目に余った状況になってから重い腰をあげる結果になってしまった。

もう私道ではなく「ただの道」なのだからと自分をごまかしてきたツケは、けっこう精神的には大きかったようだ。やはりわたしは、自分のいる場を「ただの道」と思うことができないし、そう思う必要もないと気づいた。腹を立てたり、落ちこんだりと、半日くらいあ〜だこ〜だと考えたものの、幸いなことによい助言をくれる人もいて、気持ちは定まってきた。今後どんなに規模が大きくなろうと、やはりそこは「私道」だと思って目配りをしたい。

お互いを不快にさせない適度な距離、適度な思いやりは、どれくらいの規模(参加人数)で可能なのだろう。ときとしてわずらわしいが欠かせない「お隣さん」意識、自分も迷惑をかけているかもしれないから多少のことは気にしない「お互い様」意識。――今月中旬には発表できるよう、植物園の拡張工事をおこなっているのだが、そのころまでにいろいろな心の準備をしておきたい。

Posted by mikimaru at April 10, 2006 02:57 AM
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