June 25, 2006

篠田節子「絹の変容」

最近どうも小説を買ってしまう。読書の夏?

小説すばる新人賞受賞の作品。間違えて買ってしまってから「ぎゃぁ」と叫ばれても困るので前もって書いておくと、虫パニックの要素が多分にある。しかも虫と言っても跳ねるほうではなくゴロゴロのほう。
篠田節子「絹の変容」

かつて織物で知られた八王子。絹の時代は去ったとして家業は包帯づくりに切り替わっていたが、後を継いだ三十代の若社長は、あるとき虹のように美しい絹の存在を知る。それは山梨から嫁いできた祖母のものとわかるが、出身地はすでにダムに埋没し、その美しい絹について知る人はほとんどいなかった。

もう一度この絹を織ることができたら――。現実世界の包帯づくりよりも夢を追いたかった男は動き出す。そしてひたすら虫の研究をしたい女、商売でひと儲けしたい男の3人で、もどれない道へと足を踏み入れる。

そんなに美しい、レーザーディスクのように色を変化させる絹が、なぜ量産されずに忘れられていたか。そこには大きな問題があった。

まぁ、題材はけっこう気色悪い方面ではある。。。でもご飯が食べられなくなるほどの気持ち悪さではなく、短めであっさり仕立て。

Posted by mikimaru at 05:26 PM | コメント (0)

映画:SAW2

前作の「SAW」とは、話はつづいているのだが雰囲気の異なる作品。

決定的に違うのは、今作は安心しきって見ていられる点だ。

殺人事件で「以前からと同じ連続殺人犯だ」ということになり、(どうやって突き止めたのかは詳細が描かれていなかったように思うが)容疑者の居場所が特定される。そして警察の人間が大量に押しかけた場所で、容疑者と警察との心理戦がはじまるのだ。

容疑者のいた場所には大量のモニターがあって、どこかで監禁されているらしい人間たちの模様が映し出されていた。「この人たちはどこで監禁されている?」と、警察の問いつめに簡単に吐く犯人ではない。だが被害者たちには時間制限がある。そこからがゲームの始まりだった。

怖さ半減ポイント:
監禁されている人間たちは(モニターに鮮明に写る必要があるからだろうが)暗い場所にいない。容疑者を目の前にした警察も複数の人間が正式な捜査として踏みこんでいるため、彼らが逆に監禁される恐れもない。

前作のような、限られた人数での閉塞した心理戦と狂気がなく、話としては小粒で薄味。つまらないというほどではないが、期待しすぎないほうがよいかもしれない。

この作品はpart3があるそうだ。初回作品を詳細に憶えているわけではないがpart2で犯人の設定が変わったことも後押しをしやすくなった要因だろう。いかにもシリーズものにしやすい設定になっていたのだが、わたしとしては前作の「あんな人にそんなことできちゃうのか?」という驚きがなかったことにされてしまったようで、やや不満ではある。

Posted by mikimaru at 03:31 PM | コメント (0)