何度も何度も読んでしまう本がある。わたしにとって倉橋由美子の
大人のための残酷童話 と 大人のための怪奇掌篇がそれ。(わたしが持っているのは実際には「倉橋由美子の怪奇掌篇」だが、今年になってこのタイトルで再刊されたようだ)。
アポロンのような男性の首が落ちていて、どうやらそれは植物らしいと気づいた女性が首を栽培する話。遠い鬼の国での物語。海辺のレストランにやってくるヴァンピールたちの話やら、美しき食人夫婦――そうした物語が、たくさん収められている短編集だ。
今回わたしは本屋で「老人のための残酷童話」を見つけた。文庫本で490円。まだ冒頭の何話かを読んだだけだが、久しぶりの倉橋由美子の世界にぞくぞくしている。