もしほんとうに2011年にアナログ放送が終了するなら、見たい人はチューナーを買ったり、ついでだからとテレビを買い換えたりすることになる。これは、テレビで女性アナウンサーたちが明るくさらっと宣伝している程度の軽い話ではなく、実はすごいことだ。
どの家庭にもあって当たり前というところまで浸透しているテレビを、新規にお金をかけないと見られなくするというのは、ライフラインに支障を来すことと大差ないような気がしてしまう。
だいたい、必要なのだろうか。
衛星放送がはじまったとき「山間部などきれいに受信ができない場所でも、ニュースが分け隔てなく見られる」というメリットをうたっていたと聞く。だが蓋を開けてみればスポーツやドラマ、芸術など、WOWOWとどこが違うのかと思うような内容(都会人の道楽)が比率として高い。しかも高額。
いまは「高品質、高画質」やら「ゴーストが出ずクリアな画像」などとうたっているが、災害時のニュースや天気予報、ちょっとしたお知らせだけでも毎日テレビを必要としている人たちに、新たな出費を強いてまで、地デジは有用といえるのだろうか。
アナログからデジタルになることで、放送に3秒程度の遅れが生じるため、テレビで時報が見られない、年末のカウントダウンができないなどの話もある。そんなちょっとしたことを聞くにつけ「アナログで何が悪いのか」と思ってしまう。
ほんとうは業界を潤して無理やり経済効果を出すとか、画像の不正コピー防止をもくろんでいるとか、そのあたりの複合的な思惑が大きいのだろう。