June 17, 2006

最近、時代小説が好きで

小説をあまり読まない時期がつづいていたが、このところまた気持ちがもどってきて、最近は諸田玲子の時代小説が気に入っている。文庫になっているものを何冊か読んだ。

きっかけは、日経新聞の夕刊で「奸婦にあらず」というのをときどき読んでいたこと。この数ヶ月は小説が最終面になってテレビ欄が奥になってしまったので、ほぼ毎日読むことになってしまったが(テレビ欄を最終面に返せ、日経新聞)、読みやすく上品な文章を書く人だと思った。

文庫になっているのが1冊だけなので残りは読んでいないが、「お鳥見女房」という短編の連作は、なかなかおもしろい。表向きは将軍の鷹狩りの下準備と餌の雀を確保する家なのだが、密偵の仕事もまわってくる危険なお役目である「お鳥見」。親が代々お鳥見で、入り婿の夫も同じ役目をしている女性が主人公。この人がまた40歳前後にして見た目が若く、笑顔が可愛く、そのくせとてつもないことが起こっても眉一つ動かさずにその場を丸く収める存在だ。

暮らし向きもかつかつで、ときどき帰ってくる娘や孫だけでも狭かった家に、ある日わけあって浪人とその子供たち、その浪人を追っているわけあり女性が転がりこむ。「この家にいる限りみんなが当家のお客様、手出しはなりません」と主人公が言い放ち、全員が数ヶ月以上も居候をするところから物語が始まるのだ。

諸田玲子、おすすめである。

Posted by mikimaru at June 17, 2006 10:59 AM
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