June 28, 2006

筒井康隆を2冊

深田恭子の富豪刑事デラックスがけっこうおもしろかったので、本屋で見かけて買ってみた。ほぼ同時期に楽天ブックスで「日本以外全部沈没」(短編集)を発見。

30代後半〜40代の方はご記憶かもしれないが、かつてNHKの少年ドラマシリーズで「七瀬ふたたび」が放送され(1979年)、それをきっかけとして子供世代にも七瀬三部作と筒井康隆の知名度が上がった。わたしもそれをきっかけに当時はずいぶん筒井作品を読んだほうだと思うが、十代の少年少女が健全に読める作品ばかりではないし、あとになって意味がわかったものの当時は字面を追うのに精一杯だった部分もあったと思う。

90年代にいわゆる「断筆問題」があったが、扱う題材、文章表現や言葉の選び方にかなり"ぎりぎりの匂い"がある作家でもある。今回の2冊、とくに「日本以外〜」のほうは、書かれた時代が古いことも手伝ってか、現在あらたに同じ内容や語彙で書いたら編集者が頭をかかえてしまいそうな部分もかなりある(逆に言えば言葉の使い方が厳しくなる前の時代に「書いておいてくれてよかった」という気もするが)。

ちなみにドストエフスキーの作品「はくち」を変換候補に入れていないATOKは、筒井作品内の「どじん」もまた一発では変換してくれない。

富豪刑事は、原作では主人公は男性。だがテレビとしては深田恭子のあれでよかったように思う。運転手さんのキャラクタがおもしろいし、秘書役の女性が落ち着いた年代の市毛良江に変更されていることも、かなりポイントが高い。

原作が4話だったのに対し、テレビは2回のシリーズ化がなされているが、雰囲気は薄まることなくところどころに生かされていたというのが、第一の感想だ。

余談だが:
十年くらい前だったか、何かの短編で「池猫」というとてつもないショートショートを見つけ、そのときに受けた衝撃はすさまじいものだった(どうやら現在は「にぎやかな未来」という短編集にはいっているらしい)。あれはおすすめだ。

Posted by mikimaru at June 28, 2006 09:57 AM
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