February 12, 2007

映画:ナイロビの蜂

以前から関心のあった映画を、レンタルDVDで見た。
ナイロビの蜂 - 公式サイト

ケニアの弁務官事務所に籍を置く英国人外交官は、つねに植物の手入れを欠かさない穏やかな男。彼が映画の原題Constant Gardener(欠かすことなく庭をいじる人)だ。

そんな彼の元に、数日間の滞在予定でロキという地方に出かけた妻が、遺体で見つかったとの知らせがはいる。一緒に出かけた現地人の医師は行方不明、帰路の運転手として雇われた男と妻が、湖岸で殺害されていた。強盗目的? あるいは……?

妻は人権や環境問題に広く関心を持ち、さまざまな活動を通じて現地の人々にも慕われていた。傷心の夫が家に戻ると、現地の警察によって妻の部屋を中心に家が荒らされ、コンピュータなど情報関連の私物は根こそぎ持ち去られていた。

見落としによりクローゼットに残されていた私物から、夫はある重大な裏切りの気配を嗅ぎとる。否定してくれる妻本人がいない現在、その疑念はもう一歩のところでこれまでのふたりの生活へと向かいそうにもなる。そして夫は、真実を調べはじめた。

製薬ビジネスと国際的な利権、食い物にされるアフリカという土地。その瞬間に目の前にいる人ひとりを助けることは可能かもしれないが全体を救うことにはならないという事実――夫は少しずつ、いまは亡き妻を理解していく。

外交官のような立場にありながら、次々に非道な扱いを受ける主人公を見ていると「まさかここまで、金のために誰も彼もが腐るものかな」と思いそうにもなるが、金と権力に腐った人が現実社会にたくさんいるのは事実であり、程度の差はあれ、全体としてじゅうぶんにありそうな話。

結末はあまりにも悲しいが、心に残る作品。

Posted by mikimaru at 05:02 PM | コメント (0)