September 09, 2008

容疑者Xの献身

文庫本で、読んでみた。テレビ番組のシリーズになったとき、原作を読んでから見てよかったと思ったので(テレビは「かなり」おもしろく脚色していて、あとから読んだとしたら原作はとても地味に思えたはず)、今回ももし映画のDVDを見ることになるとしたら、先に読んでおこうと考えたのだ。

読んで率直な感想として、最後のほうが予想外だった。

登場人物たちのさまざまな行いが交錯する世界で小さな「予想外」が生じても、いっぽうの主人公(隣室の親子をかばう男性、数学者)は、どうにかそれらを計算の範囲内に落ちつかせ、最後まで綱渡りを演じる。だが、その綱を見破るもういっぽうの男性(かつての友人である物理学者)が現れたとき、綱は強固であるにもかかわらず、親子を安全圏におくため、男はある行動に出る。

その行動を推論として解説する物理学者により、ようやく読み手は「献身」の正体を知ることになる。

感動はしないのだが(そして別に作者が読者に感動しろと言っているわけではないのだろうが)、わたしはまったくそれを想定していなかった。

Posted by mikimaru at 11:39 PM | コメント (0)