July 02, 2008

(7/2) ニュースリアルタイムで

夕方のテレビ番組で、冤罪の可能性がある男性の事件(現在のところ無期懲役で服役中)を特集していた。

北関東の県境(群馬県太田市と栃木県足利市)にまたがる1979年以降の一連の事件(女児殺害または行方不明)については、わたしの出身地にとても近いこともあり、わたしは発生当時からのことを、たぶん世間一般よりは多く記憶していると思う。そのうちの1件で男性が起訴されたときは、日本で最初のDNA鑑定事件と言われたケースだし「そんなすごそうなもので犯人がわかったんだったら、間違いないんだろうな」と、漠然と考えたものだった。

だが、普通ならそんなサンプルからDNA鑑定をしないだろう(できないだろう)というほど、いまから思うと精度が疑わしい検査だったらしい。ずいぶんあとになってから、そう耳にした。だが、冤罪かどうかの可能性については、まったく考えも及ばなかった。

以前から何度かテレビ番組でも言及される機会があったが、今回の放送を見てもやはり、DNA鑑定と本人の自白以外は矛盾の多い事件だったことがわかる。証言や証拠に合わない事実もあったという。鳴りもの入りで発表したDNA鑑定が根拠の薄いものであったなら、本人が「言わされた」と言っている以上、再審の道は開かれて当然のはず。

ほとんどの警察官や検察は、正義感とまじめな気持ちから捜査をし、起訴をするのだろうけれど、一度暴走したら、もう誰にもとめられない。過去の自分たち側の人間が苦境に立たされることは、何としても避けるだろう。

捜査の側にいる人も、起訴する人も、裁く人も、そして事件の捜査に協力する人もしない人も、来年あたりに裁判員に選ばれるかもしれない人も、みんなに、考えてみてほしい――

ある日突然に、自分がよく覚えていないような日付で「何月何日の何時に何をしていましたか」と聞かれて、ちょっと口ごもったら「怪しい、きっと犯人だ」と思いこまれて、連行されてしまうようなことは、もしかしたら「誰の身にでも」起こるかもしれないことを。

人が人を裁くというのは、慎重すぎることはないほどデリケートな問題であるべきだと思う。

裁判員制度がはじまるが、プロの集団が冤罪や判断ミスを生んできた歴史がある以上、市民には大きな不安がつきまとうことになる。杞憂ならばよいが。。。

Posted by mikimaru at 10:55 PM | コメント (0)