May 06, 2005

個人に優しく、組織に厳しい

JR西日本関連のことで、雑感。

昨日から、愛読しているブログや日記サイトを見ていて、いくつか「ボウリング自体がそれほど悪いのか」という意見を目にした。

よくよく思い直すと、わたしは個人に対する物差しはゆるくとってある。最初の最初から、運転士のスピード出し過ぎが原因と決めつける記事や意見を読むと「早まらないでほしい」と思ったし、その運転士の生い立ちや噂についてとやかく書くスポーツ新聞系の記事や、それをおもしろがってリンクするブログも、できるだけ見ないようにしていた。そして、後日あきらかになった「救助せずに職場に向かった運転士」の存在そのものに嫌悪感はない。自分だってどんな間抜けな判断をくだすか、とっさのときのことはわからないからだ。(だが彼らは上司らに連絡していたという。上司が判断を自分の場所で止めていたという点には、もちろん大きな問題があるだろう)

いっぽう、組織や企業など大きな存在にたいしては、わたしは精密な物差しできっちり測る。乱暴な書き方かもしれないが、もまれて当然とも思う。三人寄れば文殊の知恵というが、大きな企業などは知識と経験の集大成であるべきものだ。個人の場合のように、かばって考えてやる必要があるとは思えない。

誰も「おかしい」と言わない(言えない)。「こうしないか」と提案しない(しづらい)。そういった風土があるのならば、この際どんどんと出せるものを出してしまって、すっきりきれいな存在になる努力をしていただきたいと、切に思う。

さて、ボウリングのことにもどるが:
わたしは何も「あれだけの事故だったのだから、あとからマスコミにたたかれないためには、ボウリングをやめておけばよかったのに」と言いたいのではない。おそらく多くの人がそうだろう。「非番ではあるが、会社に連絡してみたほうがいいのではないか。何か手が必要なのでは」といった思いを抱く人がいなかった(いたのかもしれないが言い出せなかった?)のが、おかしいと思う。ちょっと考えれば、おいおいボウリングやってる場合じゃないだろうに……と思えるのだ。これは「あとからなら何でも書けるし、ただの理屈だ」ということに、なるのだろうか。

Posted by mikimaru at May 6, 2005 05:51 PM
コメント

「連絡してみなくていいんですか?」と言い出せないような、会社の体質に問題があるのは確かだと思いますが、JR西日本の社員なのだからと大きく括るのはどうかな、と思います。

彼らは事故を起こした路線の運行とは全く関わりのない管区の社員であったわけですし、「百聞は一見に如かず」ではないですが、あの映像を見れば一目瞭然のことでも、メールでの文章のやり取りだけで、どの程度ことの重大さを認識できていたのかなと疑問にも思います。

それにしても、マスコミは事故当日の社員個人個人の行動をいちいち取り上げて大騒ぎするよりも、他にすることがあるでしょうに。
JR西日本側も、事故当日とはいえ、事故発生前に韓国旅行に出発していた社員まで「不適切」呼ばわりって....。「JR西日本の社員たるもの、予知能力くらいは養っておけ」とでもいうのでしょうか?論点がズレまくりです。

Posted by: どん@雪 at May 7, 2005 03:20 PM

わたしも、二次会の人数とか、三次会でどこに出かけたかなどまで電波や活字にするのは、意味があるとは思えないですし、マスコミの質と方向性については、同感です。(韓国旅行については、知りませんでしたが…。そんなことまで話に出ていたのですか!?)

わたしは先日の記事(2個前)を書くときに、天王寺車掌区がどこにあるのか、マピオンで調べていました。距離としてすぐ近くですし、社内の管轄はどうであっても、事故の規模を知らなかった人が大多数とは思えないほど、すぐ隣に感じられました。言い出しづらい雰囲気があったのではという印象は、その距離に基づいています。

ところがそれから時間が経ち「言い出しづらかった社員もいる」と報道され、JR西日本の体質が云々、という話が固まってくると…。ああ、マスコミの方向性と自分が書いたことはけっきょく同じ場所に流れ着くのかと、やや複雑な気分ではあります。安易に流されないよう、これからも注意していきたいとは思いますが。

Posted by: mikimaru at May 7, 2005 04:19 PM